リュション近郊サンタヴァンタン村に立てられたブランドン。割り開かれたモミの幹。ウジェーヌ・トリュタ撮影、1898年

一年でいちばん短い夜、ピレネーの村々は燃えるたいまつを山から運び下ろし、広場に組んだ火に点ける。リュションではその火が十メートルから十二メートルのモミの幹で、鉄の楔で割り開かれ、村長と司祭が二人で点火する。

山から下ろされる火

太陽がもっとも高く昇る夜、ピレネーの両側の共同体は山へ登り、たいまつに火を点け、それを運び下ろして、土地のやり方で組んだ火に点ける。ユネスコは2015年、この慣行を人類の無形文化遺産の代表的な一覧表に記載した。フランス、スペイン(アラゴン、カタルーニャ、バル・ダラン)、アンドラが分かち合う一つの記載である。

下山を率いるのは若者たちだ。ユネスコの文書は、この夜が少年期から成人への移行を印づけると明言している。たいまつを担ぐのは村の若者で、多くの土地では未婚の若い女性たちがぶどう酒と甘い菓子をもって迎える。最初の火を点けるのが誰かは土地の習わし次第で、村長のことも、司祭のことも、その年いちばん最近に結婚した男たちのこともある。継承は家族のなかで行われ、地域の諸団体の網がそれを支える。

リュションのブランドン

フランスでもっともよく保たれているのは、オート・ガロンヌ県バニェール・ド・リュションと、その郡の村々の ブランドン である。ブランドンとは緑の枝の意で、オック語では ブランドゥ と発音する。火となるのは十から十二メートルのモミで、鉄の楔によって縦にも周にも割り開かれ、木の楔が割れ目を保ち、鉄の輪が幹の裂断を防ぎ、隙間には削りくずと藁が詰められる。これを立て、村長と司祭がともに点火する。

火を運ぶ行列を率いるのは町の団体である。1875年創設の市楽隊、1934年創設の民俗団体レ・フィス・ド・リュション、そして騎馬ガイドの一団。古い衣装の踊り手たちが花と小さなたいまつを手に続く。幹は倒れるまで一時間近く燃える。そのあと若い男たちが駆け寄って燠から燃え木をつかみ、振り回し、煙と煤で若い女たちを追う。年長の者は冷めた木片を拾い集める。焦げた一片を家に持ち帰れば、その年の一家に幸運が来るという。

一夜ではなく幾夜も

古い日取りは聖ヨハネの前夜、6月23日であり、土地によっては6月29日の聖ペトロの日に二度目の火を焚く。実際には暦は土地ごとだ。リュションは夏至に近い土曜——2026年は6月20日だった——に温泉公園の広場でブランドンを燃やし、近隣の八つの村が後の晩にそれぞれの火を点けるので、火は六月の終わりから七月の初めまで続く。中央の番組表はない。谷の観光案内所が毎年春に、村ごとの日取りを公表する。

開催時期

火は聖ヨハネの夜、6月23日から24日ごろのものだが、晩をいつにするかは各コミューンが決める。リュションは夏至に近い土曜にブランドンを燃やし、谷の村々はその後の晩に続いて七月初めまで及ぶ。そのために旅するなら、現地か谷の観光案内所で先に確かめること。

  • 2027/06/23~2027/06/24推定
  • 2028/06/23~2028/06/24推定
  • 2029/06/23~2029/06/24推定
  • 2030/06/23~2030/06/24推定

敬意をもって訪れる

知っておきたいこと

  • これは村の儀礼であり、よそ者が見ることは許されるが、見物人のために仕立てられた催しではない。係員の示す場所に立ち、行列を通すこと。
  • 火を運ぶのは村の団体——楽隊、民俗団体、騎手たちで、彼らが晩を導く。拍手はよいが、その列の中に入り込まないこと。
  • 焦げた木片を差し出されたら受け取ること。家へ持ち帰ることこそがこの習わしの眼目であって、火から奪う土産ではない。

避けること

  • 自分で火から燃える木を取らないこと。誰がいつ取ってよいかは村が決めている。
  • 行列の道に駐車せず、広場を車でふさがないこと。道は狭く、火は大きい。

安全のために

  • 十メートルの幹は一時間ほど燃え、火の粉を散らして崩れ落ちる。子ども連れならなおさら、十分に下がって立ち、溶ける素材の服は避けること。
  • 夜の山道は照明もガードレールもないことが多い。ゆっくり走り、言われた場所に停めること。
  • フランスへの一般的な渡航情報が当てはまる。出発前に自国の外務当局の頁を確かめること。

出典

この項目は次の資料をもとに書かれています。

  1. Summer solstice fire festivals in the PyreneesUNESCO · 2026年9月24日 閲覧
  2. Le brandon de Bagnères-de-Luchon — fiche d'inventaire du patrimoine culturel immatérielPCI Lab, inventaire national du patrimoine culturel immatériel · 2026年9月24日 閲覧
  3. Brandon de la Saint-Jean : la fête du feu pyrénéen à LuchonHaute-Garonne Tourisme (Pyrénées 31) · 2026年9月24日 閲覧
  4. France travel advice: safety and securityUK Foreign, Commonwealth & Development Office · 2026年9月24日 閲覧

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